野球において投手を評価する数値のひとつとして防御率があります。
打率は高いほうが良いから防御率も高いほうがいいの?そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが答えはNoです。防御率は低いほうが優秀な投手として評価されるのです。
この記事では野球の防御率についてわかりやすく解説させていただきます。
野球の防御率とは
まず野球の防御率とは、その投手が1試合を投げ切った場合に何点取られるのかを表した数値です。
防御率は英語でERA(Earned Run Average)と呼ばれています。
そのため防御率が1.00の場合、9回を投げ切ったときに平均して1点取られるということを表しています。
防御率は平均値ということは、登板回数が少ないときに大量失点した場合には防御率130.5など大きい数字もあり得ます。
野球は多く点を取った方が勝ちなスポーツですので、投手はなるべく点を取られない(失点しない)ほうがチームの勝ちに繋がります。
よって防御率は低い方が優秀な投手として評価されることになります。
また、投手が何点取られるのかを表した数字である防御率は、単なる失点ではなく自責点をもとに計算されている数値というのが特徴です。
自責点ではなく失点をもとに計算してしまうと守備のエラーなどが大きく影響してしまい、投手の評価基準として信用ならないものになってしまうからです。
自責点とは
自責点とは野球の試合において、基本的に投手の責任による失点のことです。
そのためエラー(失策)や打撃・守備妨害で出塁したランナーがホームに帰還し得点が入っても、自責点には含まれません。
また、安打によってランナーが出塁し得点したとしても、失策の絡んだ進塁がなければ得点が入らなかったときには自責点になりません。
エラーによる野手の責任の場合、投手の自責点には含まれないのです。
例えばツーアウトで二塁にランナーがいるときに、平凡なショートゴロで打ち取った際に、ショートがエラーしたとします。
そして普通にショートが守っていればスリーアウトチェンジだったのに、エラーによってツーアウト一塁、三塁の状況に代わったとします。
その次の打者に投手が本塁打を打たれたとしても、自責点にはなりません。
ショートのエラー(失策)がなければチェンジになっていたため、その後の結果は投手の責任ではないと考えます。
防御率の計算方法
防御率は基本的に『自責点×9÷投球回』で計算できますが、イニングの途中で投手交代(スリーアウト取れずに交代)になった場合の計算が複雑になるため、現在NPBでは(自責点×9×3)÷(投球回×3)という計算方法になっています。
防御率=(自責点×9×3)÷(投球回×3)
この投球回はイニング途中で交代した場合には1/3などの分数で計算します。
ワンアウトとった場合は1/3、ツーアウトとった場合は2/3
例えば一年間の自責点が15、投球回が合わせて35回と1/3回の場合、(15×9×3)÷(106/3×3)=3.82という防御率になります。※35回+1/3回=105/3+1/3
NPBの個人タイトル最優秀防御率
NPBではセリーグ・パリーグともに、規定投球回数に到達した投手のうち最も低い防御率の投手に贈られる個人タイトルが最優秀防御率です。
防御率は平均値になりますので、投球回数がある程度多くないとその投手を正確に評価することができません。
そのため規定投球回数というものが決められています。
規定投球回数は自身の球団の試合数×1で求められます。そのため2023年の場合143試合行われましたので、規定投球回数は143回となります。
2020年以降の両リーグ最優秀選手
年度 | セリーグ | 成績 | パリーグ | 成績 |
---|---|---|---|---|
2020年 | 大野雄大(中日) | 1.82 | 千賀滉大(ソフトバンク) | 2.16 |
2021年 | 柳裕也(中日) | 2.20 | 山本由伸(オリックス) | 1.39 |
2022年 | 青柳晃洋(阪神) | 2.05 | 山本由伸(オリックス) | 1.68 |
2023年 | 村上頌樹(阪神) | 1.75 | 山本由伸(オリックス) | 1.21 |
規定投球回に到達選手の平均防御率は2023年で3.2前後ですので、2点台以内であれば好評価ということができます。
山本由伸選手はパリーグで2021~2023年で三年連続投手4冠を達成しています。化け物だ…
最後に
この記事では投手の評価基準である防御率についてわかりやすく解説させていただきました。
失策などの影響を含めない自責点をもとに計算するのでしたね。
防御率は投手の評価数値の中でも最もわかりやすいものですので、防御率をチェックして野球をさらに楽しましょう!
コメント