日本のプロ野球では毎年シーズンが終わると、アマチュアの高校生や大学生、社会人野球の選手をプロ球団が指名するドラフト会議が行われています。
そのドラフト会議とは別に、2022年から現役ドラフトという新たな制度が始まりました。
この記事では現役ドラフトの仕組みや目的を解説させていただきます。
現役ドラフトとは
現役ドラフトとは他チームに所属している現役プロ野球選手を指名できる制度です。

通常のドラフトはアマチュア選手が対象ですので、この現役プロ野球選手というところが大きく異なる点ですね。
メジャーリーグで既に行われている同様の制度を参考にして、日本でも2022年より制度化されました。
メージャーリーグでは『ルール 5 ドラフト』という制度名のようです。
現役ドラフトを行う目的
日本のプロ野球ではドラフト会議で指名されて入団したあと、トレードや戦力外通告などがないとその指名を受けた球団でレギュラーを目指さなければなりません。
その球団の1軍で長年活躍することができれば、FA権を取得することができて他球団と交渉することもできますが、FA権を取得することができるほどプロで長くプレーできる選手は多くありません。
基本的にFA権取得するには高卒選手で8年、大卒・社会人卒選手で9年の一軍登録が必要。
もし入団した球団と何かしらの理由で合わなくて干されていたり、実力はありながらポジションがかぶっている選手が多くて試合に出られない、飼い殺しのような状態になっている選手たちを救済することが現役ドラフトを行う目的です。
現役ドラフトは選手の救済が目的。
現役ドラフト制度化までの経緯
メジャーリーグで既に制度化されていたこともあり、2018年ごろから日本プロ野球選手会の間で議論が本格化。
2019年には日本プロ野球機構へ提案し、2022年から制度化されることになりました。

現役ドラフトの仕組み
現役選手から選手を指名できるとは言っても、誰を指名しても良いわけではありません。
通常のドラフトのように順位をつけるのではなく、各球団が自チームの選手2人以上を選んだリストから、欲しい選手を一人指名します。
そしてこの現役ドラフトの面白いところは、各球団が最も多く欲しがった選手がいるチームから指名権を得られるところです。
この現役ドラフトは指名権を得た球団から好きな選手を指名できるので、競合して抽選と言うことにはならず、早い者勝ちで選手を獲得することができます。

上の図のように、各球団まずは自チームから二人以上をリストアップします。
そしてそのリストから自チーム以外で欲しい選手を各球団ひとり指名し、一番票の集まった選手のいる球団から指名権を獲得できるのです。
12球団が一巡するまで同様に続けます。
すでに指名の終わった球団の選手が指名された場合、残っている球団の中で、多く指名を集めた選手のいる球団に指名権が移ります。
そのため現役ドラフトで早い段階で指名したい場合、他球団が欲しくなるような選手をリストアップしなくてはなりません。
自チームの余剰戦力だからといって他球団が欲しがらない選手をリストアップした場合、自チームが指名できる順番は最後の方になり、魅力的な選手を選びづらくなってしまいます。
現役ドラフトで良い選手を指名したい場合、指名順が早くなければその選手は残っていません。指名順を早くしたいのであれば、自チームからも人気のある選手をリストアップしなければなりません。

現役ドラフトは各チーム1人指名。1人流出。選手リストは一般非公開。
2022年現役ドラフトの結果
2022年12月9日に現役ドラフトが行われ、選手リストは非公開ながら以下のような結果となりました。
球団名 | 獲得選手 |
オリックスバッファローズ | 渡邉大樹(ヤクルト→) |
ソフトバンク | 古川侑利(日ハム→) |
西武ライオンズ | 陽川尚将(阪神→) |
楽天ゴールデンイーグルス | 正隋優弥(広島→) |
千葉ロッテマリーンズ | 大下誠一郎(オリックス→) |
日本ハムファイターズ | 松岡洸希(西武→) |
ヤクルトスワローズ | 成田翔(ロッテ→) |
読売ジャイアンツ | オコエ瑠偉(楽天→) |
中日ドラゴンズ | 細川成也(横浜→) |
広島カープ | 利根千明(巨人→) |
阪神タイガース | 大竹耕太郎(ソフトバンク→) |
横浜DeNAベイスターズ | 笠原祥太郎(中日→) |
様々な噂はながれていますが、指名順は非公開になっています。
実際に2023年シーズンで彼らがどのくらい試合で活躍することができたのかはこちらを参考にしてください。
実力がありながら試合に出られない選手の救済を目的としているので、移籍先で試合に出られていると良いですね。
最後に
この記事では現役ドラフトの目的や仕組みについて解説させていただきました。
まだ2022年から始まったばかりの制度ですので、やり方は段々と変わっていくのではないかと思います。
より選手のことを第一に考えた制度になるといいですね。
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