野球の試合の最終回は、僅差であればあるほど盛り上がり、リードしている側は投手にプレッシャーがかかります。
分業制の進んだ現在のプロ野球では、僅差の試合の最終回に登板する投手を抑え投手(クローザー)と呼び、彼らはプレッシャーをはねのける強い精神力で試合の最後を締めくくります。
この抑え投手はある条件をクリアするとセーブという記録がつくのです。
この記事ではセーブの意味や条件についてわかりやすく説明させていただきます。
セーブとは
セーブとはリードしているチームの救援投手(リリーフ投手)が、相手チームに追いつかれることなく試合を終えたときにつく投手記録です。
セーブは1960年にアメリカのスポーツ記者が提唱した記録で、1969年に公式記録となりました。
当時の救援投手は防御率と勝敗しか評価基準がありませんでしたので、正当な評価基準が求められていたのですね。
しかしセーブが記録になった結果、セーブ機会にのみ登板する抑え投手(クローザー)が出現・増加し始めたので、救援投手全体を評価する基準としてセーブだけでは対応できなくなってしまいます。
救援投手は先発投手の後に投げる投手全体を指します。その救援投手の中で、先発投手から抑え投手に繋ぐ間に投げる投手を中継ぎ投手と呼びます。
そこで救援投手の新たな評価基準として提唱されたのがホールドです。
ホールドについて詳しくはこちらを参考にしてください。
セーブシチュエーションで投げる抑え投手のことを日本では守護神とも呼びます!抑え投手は救援投手の中でも花形的なポジションです。
セーブの意味
セーブ(save)は『保護する、保存する、救う』という意味をもつ英語です。
セーブは抑え投手向けの記録ですが、中継ぎ投手向けの記録であるホールド(hold)は『保つ』という意味ですので、言葉の意味合いとしてはそんなに変わらないですね。
救援投手の記録としてはじめにセーブをつくった後に、それだけでは救援投手を評価しづらいということで生まれた言葉がホールドですので、意味が近くてもしょうがないのではないでしょうか。
セーブの条件
では抑え投手の記録であるセーブの条件について紹介していきます。
まず下記は必ず満たさなくてはならない条件です。
①勝利投手ではないこと
②勝利チームの最後の投手として登板
③登板して1アウト以上とること
④一度も同点・逆転されずに試合を終了させること
これらの条件を満たしたうえで、下記の条件のうちどれかを満たすと投手にセーブが記録されます。
・登板時リードが3点以内で1イニング以上投げる
・直後に投げる打者二人に二連続で本塁打を打たれた場合、同点または逆転される状況で登板し、リードした状態で試合を終わらせる
・リードしている状況で3イニング以上投げて試合を終わらせる
リードしている状況で3イニング投げ続けてセーブが付くのは意外です。
抑え投手というと基本的に最終回しか投げないので、あまり見かけないセーブの仕方ですね。
メジャーリーグではセーブを失敗した場合、ブロウンセーブ(Blown save)という記録がつけられています。
確かに敗戦投手も記録しているのだから、リードを守れなかった投手も記録していいように思います。
ホールドとの違い
セーブが勝利チームの最後の投手として登板することが前提条件であるのに対し、ホールドはリードを保ったまま降板することが条件です。
そのためセーブは勝利チームに2人以上は記録されませんが、ホールドは最終的な勝敗は関係ないので、負けたチームの投手にもつきますし、2人以上記録されることもあります。
セーブのプロ野球シーズン記録
では日本プロ野球のセーブ記録を見ていきましょう。
まずはセパ両リーグのシーズン記録です。
名前 | 球団 | 年度 | セーブ数 | |
パリーグ記録 | D.サファテ | ソフトバンク | 2017年 | 54 |
セリーグ記録 | 岩瀬仁紀 藤川球児 | 中日 阪神 | 2005年 2007年 | 46 |
圧巻の記録を残しているサファテ投手は日本プロ野球の43イニング連続奪三振の記録も持っています。
セリーグは火の玉ストレートが代名詞の藤川投手と、20年間にもわたり中日でプレイし続けたレジェンド岩瀬投手がシーズン記録を保持しています。
セーブのプロ野球通算記録
順位 | 名前 | セーブ数 |
1 | 岩瀬仁紀 | 407 |
2 | 高津臣吾 | 286 |
3 | 佐々木主浩 | 252 |
4 | 藤川球児 | 243 |
5 | D.サファテ | 234 |
通算記録は20年間現役で活躍した岩瀬投手が記録保持者となっています。
岩瀬投手は1002試合登板という日本プロ野球記録ももっています。
2位以下の投手たちは全員メジャーでの経験があるのに、日本球界の通算記録にランクインするなんてすごいですね!
最後に
この記事では抑え投手の評価基準であるセーブ数についてわかりやすく解説させていただきました。
1回を抑えるだけ、と思う方もいるかもしれませんが、負けている側は僅差であればあるほど強い気持ちで点を獲りに来ますし、代打攻勢となるので出てくるのは手ごわい打者ばかりです。
そのプレッシャーに打ち勝つ抑え投手は、本当に気持ちが強くないと続けられないポジションだと思います。
チームからの信頼も厚く、気持ちも強い。
そんな抑え投手に今日も精一杯の声援を送りましょう!
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