日本ハムファイターズに所属する左のエース、加藤貴之選手が今季FA権を取得しました。
球団側は加藤選手に複数年契約を提示し残留を要請していますが、加藤選手は代理人に任せているとコメントしています。
安定した左の先発投手として加藤選手が欲しい球団は多いと思いますので、この記事では加藤貴之選手について解説させていただきます。
加藤貴之選手とは
加藤貴之(かとうたかゆき)選手は1992年6月3日生まれ、千葉県出身のプロ野球選手です。左投げ左打ち。ポジションは投手。182cm、90kg。
小学生から野球を始め、中学では地元の白浜中軟式野球部でプレー。
卒業後は拓殖大学紅陵高へ進学し、2年の春から投手としてベンチ入り。
2年生の夏には甲子園予選決勝、そして3年生の夏には予選4回戦まで進出しますが、高校3年間での甲子園出場は叶いませんでした。

高校卒業後は社会人野球へ進むことを選び、日本製鉄かずさマジックに入社。
一年目は内野手として野球をさらに学び、二年目から投手へと復帰。三年目からはチームの中心投手となり、都市対抗ベスト4入りに中継ぎ投手として貢献しました。
このときのエースは、その年にソフトバンクから2位指名された岡本健投手でした。岡本投手は5年間プロの舞台でプレーし現役引退。現在はソフトバンクの打撃投手として野球に携わっています。
岡本選手の抜けた4年目はエースとなりチームを牽引。アジア大会の日本代表に選ばれるなど、注目選手としてドラフト上位指名も噂されていましたが、夏に痛めた肘の状態やチームのことを考えプロ入りを延期。
日本選手権予選敗退など結果を出せなかったことから、自分はチームに何も残せていない、とチーム残留を表明したようです。
5年目は調子が上がらず打ち込まれることも多かった加藤選手ですが、ドラフト会議で日本ハムファイターズから2位指名を受けプロの世界へと足を踏み入れました。

最後の年はあまり結果を残せませんでしたが、肘の調子が良くなったからプロ入りしたのでしょう。
加藤投手のプレースタイル
加藤選手は最速140km前後ながら、速球でも空振りをとることができるキレの良さがあります。
独特な球の出どころが見えづらいフォームは、多彩な変化球で緩急をつけた投球と相性が良く、打者のタイミングを外すことに長けた投手です。
特にスローカーブは新庄監督のお墨付き。打者は打てると思って手を出してしまい、加藤投手は多くの打者をスローカーブで打ち取っています。
そして何よりも加藤選手の武器といえるものは、そのコントロールの正確さです。
北の精密機械と呼ばれるほどの制球力で、なんと72年ぶりにある日本プロ野球記録を更新してしまいます。
72年ぶりにNPB記録を更新
加藤選手は2022年の9月26日、シーズンの規定投球回数に到達した時点での与四球の数が11と72年ぶりに日本記録を更新しました。
147回と2/3を投げて与四球11と言うことは、9回を投げても平均0.6しか四球を与えていないことになります。

与四球が少ないと守る側もリズムが崩れなくて良いですね~。
加藤選手が更新する前でm2リーグ制移行後の日本記録は野口二郎さんが記録した14四球です。
与四球が少ないということは、球数少なく回を投げられるということです。
事実、加藤選手はマダックスをプロの舞台で二度も達成しています。
100球未満での完封勝利をマダックスと呼びます。これはメジャー通算355勝をあげたグレッグ マダックス投手にちなんでつけられた野球用語です。
高いQS率
加藤選手は今季援護点が少なく7勝9敗と負け越していますが、防御率は2.87と素晴らしい安定感です。
こちらはパリーグ6位、そしてファイターズの先発陣では最も低い数字です。

ロッテの小島投手が防御率3.47で10勝6敗であることを考えると、加藤選手にとっては悔しい数字ですね。それを含めて野球ではあるのですが。
また、加藤選手はQS率が79.2%とパリーグ2位の成績です。
そう考えると7勝9敗という成績だけで評価することはできませんね。
QS率=クオリティースタート率
クオリティースタートとは先発投手が6回以上を投げ、自責点3点以内に抑えることを言います。
加藤投手のプロでの成績
加藤投手はルーキーである2016年は先発と中継ぎを両方こなしていましたが、以降は基本的には先発として多くの試合に登板しています。
年度 | 登板数 | 防御率 | 勝利 | 敗北 | セーブ | ホールド |
---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 30 | 3.45 | 7 | 3 | 0 | 1 |
2017 | 21 | 3.53 | 6 | 6 | 0 | 0 |
2018 | 26 | 4.53 | 5 | 8 | 0 | 3 |
2019 | 26 | 3.52 | 5 | 7 | 0 | 1 |
2020 | 28 | 3.26 | 4 | 2 | 0 | 1 |
2021 | 25 | 3.42 | 6 | 7 | 0 | 0 |
2022 | 22 | 2.01 | 8 | 7 | 0 | 1 |
2023 | 24 | 2.87 | 7 | 9 | 0 | 0 |
しかし加藤選手はいまだに二桁勝利を達成したことがありません。
防御率2点台の選手が二桁勝てていないのは、本人にとって悔しい結果なのかもしれません。
加藤投手はFAするのか?
10月18日現在、加藤投手はFA宣言するとは発表していません。
球団と残留交渉を行い、複数年契約の打診はあったようなのですが、代理人にあとは任してあると言ったきり、残留とも移籍とも明言はしませんでした。
しかし昨年オフの契約更改では、複数年契約を断りファイターズと単年契約を結んでいます。
これは西武の山川穂高選手と同じですね。
山川選手については詳しくはこちらを参考にしてください。
昨年複数年ではなく単年契約にしたということは、条件次第ではFAするということのように思えます。
加藤投手の2023年の年棒は1億3500万円。
安い年棒ではありませんが、加藤投手が四球を多く与えて自滅する展開は想像できません。安定感のある先発が欲しい球団は2億円を超える年棒を提示してくると思います。
成績が良いにも関わらず勝ち星に恵まれていない加藤選手ですので、もっと勝てるチームに行きたいと思うのは選手として当然なのかもしれません。
北が誇る精密機械である加藤貴之投手の今後から目が離せません!

完投できる先発がいない球団は加藤投手に来て欲しいですよね。ヤクルトとかヤクルトかヤクルトとか!!
最後に
この記事ではFAすれば引く手数多である加藤貴之投手を紹介させていただきました。
イニングを消費できる貴重な先発左腕ですから、FAすれば多くの球団が声をかけるのではないでしょうか。
残留であっても移籍であっても、本人にとって良い条件の契約ができるといいですね。
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